今回は相談事例を通じて、土地所有権の国庫帰属制度についてご紹介します。
先日父親が亡くなり、土地を相続しました。私は別の場所で生活しているので、処分を考えています。いらない土地を国にもらってもらえると聞いたのですが、可能でしょうか。
2023年(令和5年)4月27日から、相続又は遺贈により土地の所有権を取得した者は、その土地を国庫に帰属させることができるようになります。
国庫に帰属させるためには、まず、法務大臣に対して承認申請手数料を支払い、承認申請します。承認申請は、その土地が次のいずれかに該当するものであるときは、申請をすることができません。
法務大臣は承認申請に係る土地が次のいずれにも該当しないと認めるときは、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければなりません。
申請の内容によっては、法務局職員による当該土地の実地調査を受けることがあり、その際は、調査に協力する必要があります。
なお、承認申請が認められた後、10年分の管理に要する費用としての負担金を申請者が納付したとき、土地の所有権が国庫に帰属します。
土地の処分方法としては、売却する方法もあるので、十分検討の上で処分されたほうがよいでしょう。その際はお近くの司法書士などの専門家へのご相談をお勧めします。