2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが、相続時精算課税制度の適用はどうなりますか?
いくつかの財産を今年(2022年)中に生前贈与しようと思います。受贈者のうち、今年4月に高校3年生になった孫を含めようと思っていますが、この孫は、相続時精算課税制度を適用することはできるのでしょうか。
孫は2004年8月生まれです。
2022年1月1日現在、お孫さんは18歳ではないため、2022年中の贈与について相続時精算課税制度を選択して適用することはできません。
相続時精算課税制度とは、贈与を受けたときの贈与税の計算において、自ら選択することで適用することができる制度です。
その特徴としては、主に以下のとおりです。
なお、贈与者と受贈者の年齢制限については、以下のとおりです。
その年1月1日現在の年齢 | |
贈与者 | 60歳以上 |
受贈者 | 20歳以上 (2022年4月1日以後は18歳以上) |
これまで成年年齢が「20歳」であったため、受贈者の年齢について、贈与の年の1月1日現在において「20歳以上」か否かで判定をしてきました。
これが民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、年齢要件が「18歳以上」と改正されて、「18歳以上」か否かで判定することとなりました。
この改正は2022年4月1日以後の贈与から適用となるため、2022年中の贈与はこれまでの判定要素に加え、「何月の贈与」なのかも確認しないと判断できないこととなります。
ご相談のケースは、2022年1月1日現在、お孫さんは17歳です。そのため、仮に2022年4月1日以後に贈与をしたとしても、受贈者の年齢要件を満たすことはできないため、相続時精算課税制度を選択適用することはできません。
なお、仮に贈与を実行した場合には、暦年課税により贈与税を計算することとなります。その場合においても、2022年1月1日現在のお孫さんの年齢は17歳であることから、2022年中の贈与は「一般税率」を適用して贈与税の計算を行うこととなります。
贈与税の計算に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP「No.4103 相続時精算課税の選択」、「民法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし」PDFなど